萩市呉服町の御成道に面する旧久保田家住宅は、幕末から明治時代前期に建てられた町家です。通りの向かいには菊屋家住宅があり、主屋、門、塀、離れが連なる姿は、御用商人や商家が栄えた萩城下町の景観を今に伝えます。

呉服商から造り酒屋へ
初代庄七は江戸時代後期に近江から萩へ移り、呉服商を開きました。二代目庄次郎の代に酒造業へ転じ、明治30年代まで「あらたま酒店」を営んだと伝えられます。明治期には、萩を訪れた名士の宿所としても利用されました。


つし二階と、力強い土間の吹き抜け
主屋は屋根裏に物置や使用人の寝間を設けた「つし二階」をもち、同時代の町家のなかでも立ちが高いことが特徴です。土間から見上げる吹き抜けには梁と柱が重なり、商いと酒造を支えた建物の構造がそのまま空間の表情になっています。

襖で変化する続き間
座敷は襖を開くことで一続きの広間となり、閉じれば用途の異なる部屋へ分かれます。床の間と違い棚、屏風、建具の反復が、奥へ続く町家の深さを強調します。





中庭と縁側がもたらす光
細長い敷地の奥まで光と風を導くのが中庭です。座敷や広間は縁側を介して庭へ開き、木戸や軒下が視線を重ねます。白壁、木部、植栽の色が落ち着いた対比をつくり、商家の内部に静かな余白を生み出しています。






旧久保田家住宅の利用案内
開館時間は9時から17時、無休です。観覧料は100円で、小学生未満は無料。萩市文化財施設1日券も利用できます。萩循環まぁーるバス西回り「萩博物館前」から徒歩約3分です。
※利用案内は2026年10月19日時点の萩市観光協会公式サイトを参照しています。来館前に最新情報をご確認ください。