山口県萩市の呉服町に建つ菊屋家住宅は、約400年の歴史をもつ大型町家です。菊屋家は毛利輝元の萩城築城に伴って町づくりに加わり、萩藩の御用商人として藩政を支えました。屋敷は幕府巡見使の本陣や藩の賓客を迎える場所にもなり、商家でありながら迎賓の格式を備えています。

五棟が重要文化財となった、萩を代表する町家
主屋、本蔵、金蔵、米蔵、釜場の五棟は国の重要文化財です。約2000坪の敷地のうち約3分の1が通常公開され、建物、美術品、民具、古書籍を通して、御用商人の仕事と暮らしをたどることができます。


土間と台所に見る、商家の機能
通りから入ると、土間が屋敷の奥へ伸びます。高い小屋組、竈や井戸、滑車などが、広い屋敷を支えた日々の仕事を物語ります。店の間には和の架構と洋風の扉が並び、長い年月のなかで更新された生活の層も感じられます。



座敷と縁側がつなぐ、内と外
座敷では床の間、掛け軸、調度品が落ち着いた景色をつくり、戸口や縁側の先に中庭が現れます。深い軒が直射光を和らげ、庭の緑を室内へ引き込む構成は、町家の限られた間口の内側に豊かな奥行きを生みます。




石と植栽がつくる、静かな庭園
屋敷の奥には、飛び石、手水鉢、庭石、ソテツなどを配した庭が広がります。通常公開の庭に加え、約500坪の新庭は春と秋に期間限定で公開されます。縁側から眺め、庭を歩くことで、建物と庭が一体に設計された町家の時間を味わえます。






菊屋家住宅の利用案内
開館時間は9時から17時、最終入館は16時45分です。休館日は12月31日で、臨時休館や夏期休業があります。料金は一般650円、高校・中学生350円、小学生250円。萩循環まぁーるバス東回り「萩博物館前」から徒歩約3分です。
※利用案内は2026年10月19日時点の萩市観光協会公式サイトを参照しています。来館前に最新情報をご確認ください。